こんばんは。フェデリコ・フェデリチです。
2026年の春アニメの感想を書いていきます。
順番はタイトルの50音順です。
- 「霧尾ファンクラブ」
- 「クジマ歌えば家ほろろ」
- 「春夏秋冬代行者 春の舞」
- 「NEEDY GIRL OVERDOSE」
- 「淡島百景」
- 『女神「異世界転生何になりたいですか」 俺「勇者の肋骨で」』
- 「勇者のクズ」
- 「リィンカーネーションの花弁」
「霧尾ファンクラブ」
「君の笑顔を取り戻したい」って言ってショートコントするアニメがあるかいな!
ストーリーだけで言えば、人と人が出会って、過去のトラウマを乗り越えていくという定番的なものなんだけど、そこで「笑い」が重要な作用を担っている。
ストーリーだけでいうと重苦しいような内容なんだけど「オチ」がついたり、「笑い」がキャラクターの関係や生き方を変えたりする。
ともすればストーリーと「笑い」という要素がちぐはぐになってスベリってもおかしくないところを、このアニメでは上手くいっている。それがすごい。
これは本筋から外れるんだけど、「オタク」を自称するキャラクターや人間が苦手なので、苦手だな~と思いながら見ていた。
「クジマ歌えば家ほろろ」
異質な客人との共存をするアニメ。アニメならありかとギリギリ思わせるマスコットキャラクターみたいな生き物が主役で、アニメを通してずっとこのクジマという強烈なキャラクターに困惑させられるアニメだった(周りのキャラクターたちも困惑していて、つまりキャラクターたちと一体になれるアニメだ)。
クジマは人間でなく鳥なのだけど、「飼う」のではなく「居候」として鴻田家にお世話になっているというスタンスなのが良い。クジマは客人なのだ。
そして兄の英が良いキャラクターだった。クジマがはしゃいでいるだけのアニメでもいいちゃいいんですが、兄の英がいるおかげで起伏のあるストーリーになっていました。あと兄の英が第二外国語でロシア語を履修していたら面白いなと思ったら本当にそうで、ちょっと感動さえした。
それと音楽も良かった。奇妙奇天烈なアニメになりそうなところを踏みとどまらせて、物語に目を向けさせてくれていたのは音楽だと思う。
「春夏秋冬代行者 春の舞」
前半ずっと春の代行者誘拐事件のトラウマを三者の視点で繰り返してて凄かった。誰にとっても悲劇的な事件であっただけに、視点によって見え方が違うということもあまりなく、キャラクターの回想に付き合わされているという感じがした。
前半の印象が強かったせいか、後半で秋の代行者が誘拐されたときも「また誘拐?」と思ったし、誘拐犯が判明したときも「また同じ組織?」と思った。
代行者の誘拐をする組織のリーダーは、この作品における「敵」なんですけど、「敵」の役を果たしているのかちょっと分からなかった。「敵」というのは、単にバトルシーンを作るためのものではなくて、ストーリーを作る作品における核であるべきで、そうあってほしい。
このアニメでは、代行者と護衛官それぞれに立場や生い立ちから来る生きづらさというのがあって、「敵」である組織のリーダーにもトラウマがある。みんな何かを克服しようと必死にもがきながら生きている。
そして、それらがぶつかり合ってどうなったか。語り合う場面があったはずなのに言葉を飲み込んでどうにもならなかった。結果ただ勝ち負けが決着しただけになった。それはなんだか寂しい。(原作や続編では何かあるのかもしれないが、このアニメに限ってはそうだった)
分かり合えなさに歯嚙みして、分かり合えることに涙する、そんなアニメだった。
「NEEDY GIRL OVERDOSE」
非凡に見せたがっている凡人たちの話。そしてアニメも非凡に見せたがっている凡作。
例えば、脚本なんかも手堅くて、最初にキャラクターたちの魅力や活躍をアピールして、次に各キャラクターの掘り下げ、トラブルが起きたり対決したりして、最後はそれぞれの新しい生き方を見つける、という構成。悪くはないんですがありきたりではある。
表現の面でも、部分的に実写映像を取り入れるとか何かの引用を散りばめるとかも、正直「やってるだけ」感があった。というか実写映像に関しては、「勇者の肋骨で」があまりに無法者すぎたので「ニディガ」が相対的に微妙になってしまったのは仕方なくもある。
「勇者の肋骨で」の多種多様な映像は、作品の内容に合わせた演出としてマッチしていたんだけど、「ニディガ」は奇抜に見せるための奇抜でしかなかった。
最後のマルチエンディングも、逃げの姿勢を取っただけにしか見えなかった。明るい未来なんて白々しいし悲惨な最期も程度の低い露悪だ。その両方を避けた結果、一つのエンディングを提示できなかったのだ(ある意味正直といえる)。
そして、キャラクター、作品がともに凡庸というのは、キャラクターと作品が一致しているというより、実際に一生懸命に変だと思われようとしたものの既存の枠組みから抜けられなかったという、お粗末なアニメだと思う。
すでに言い尽くされた「インターネットが辛い」を改めて言うことにどんな意義が見出されるのだろうかという期待はものの見事に打ち砕かれた。
「淡島百景」
このアニメは異様だね。このような作品がアニメとして描かれたことに感動すらしている。
このアニメの良さは、なんというか、正直さにあると思う。例えば、伊吹桂子と岡部絵美の名前で代表されるような、いじめの加害者と被害者、その共犯や傍観者の問題が扱われるんだけど、そこで加害者を悪魔化することもなければ、無罪にもしないという、微妙な立場が保たれていた。
単なるエンタメとして面白くしたいなら、もっと作品の立場をはっきりとさせてそれに合わせたストーリーやシナリオにすれば良いんだけど、それをしない。エンタメ重視に傾かずテーマに真面目に描こうとする態度を僕は正直と言いたい。
それでいて 闇の部分だけでなく、光の部分も描いていた。これもやはり、芸能の世界を正直に描こうという態度なんだと思う。
というかこのアニメは基本的に明るい。油彩画的な重厚さではなく水彩画的な透明感だ。忘れてはならないのは、なによりまず淡島歌劇は人に感動を与えるものだということ。その世界に入ってくる人も夢や希望を抱いてやってくるということ。それが第一。
時として裏側には人目を憚るような何かがある。もちろんあるんだけど、このアニメはそれに立ち向かった。田畑若菜が書いたのは暴露本ではなく、知られざるものを知ってもらって考えてもらって良い方向に変わっていくための希望の書だった。
本がどう受け止められるのかなんてわからない。結果良くなるのかもしれないし、悪くなるのかもしれない。作中でも何かを壊してしまうのではないかと危惧していた。それでも本を出した。希望を選んだのだ。このアニメは、希望のアニメなのだ。
『女神「異世界転生何になりたいですか」 俺「勇者の肋骨で」』
このアニメも異様じゃな! 毎話作画が変わるどころか、AパートとBパートで外注しているアニメ制作グループが違うという実験というか暴挙というか。でもそれは単に気を衒ってのことではなく、このアニメのコンセプトを最大限に表現した、あるいは活かした結果のこと。
主人公が好き勝手するせいで転生先がめちゃくちゃになるという話なのだから、アニメのほうもあまりお行儀良くしちゃいられない。転生するごとに、クレイアニメや紙芝居、実写映像もあるというお祭り感。
それでいて世界全体、マルチバースを救うというストーリーがあるのだから、ただものじゃない。「霧尾ファンクラブ」でもそうだったけど、「笑い」が目の前の人を、ときに世界を救うということもあるんだという笑いの可能性を信じた作品だ。
「勇者のクズ」
個人的に今期で一番面白かったアニメ。
ストーリーもキャラクターも良かったんですが、やっぱりこのアニメの魅力は、雰囲気というかノリですね。
背景設定は言ってしまえば、ヤク中とヤク中予備軍の連中が権力抗争を繰り返している世界で、今期のアニメの中で最も悲惨。魔王vs.勇者と言いつつ、魔王の眷属から勇者になったり、勇者から魔王や眷属になったりが当たり前の世界。何なら主人公がそうですしね。
この最悪な世界と美少女萌えアニメとが上手く両立しているというのがすごい。絵柄や演出の為せる業。またこの対立は、作中では死神ヤシロと城ヶ峰亜希のケンカという形で表現されていた。漠然と感じられる違和感よりも、対象化されて問題にされたほうが受け入れられやすいのでしょうね。
そしてヤシロと城ヶ峰の対立は、言わば現実主義と理想主義の対立であり、このアニメの裏の、しかしメインのテーマである。正義の反対はもう別の正義どころか、悪の反対はもう別の悪というような世界で、勇者とは何かと問う。
一話一話が面白くて、全体でも良いストーリーだった作品でした。
あと嵐の柩卿。かつて悪しき野望を抱いた女にしか出せない哀愁!
「リィンカーネーションの花弁」
ハッキリ言ってクソアニメ。ストーリー? 多分いいんじゃない? 多分というのは、最終回が中途半端なところで終わったのみならず、全編通して描写とかエピソードが滅茶苦茶でストーリーどころではなかったから。
原作を知らないから勝手なことしか言えないけど、例えば「自分だけの才能」を切望していたはずの主人公が、他人の才能を盗む才能に目覚めるという設定、かなり秀逸なものだと思っている。つまり、主人公が求めたものと実際に得たものの間に乖離があるわけです。その点について充分に扱えていたとは思えない。
加えて、才能を手に入れることで歴史上の人物に近づけば近づくほど、元の自分を失ってしまうという葛藤もあった。これは作品の根幹でしょうに。チラッと言及されただけで、消化不良の感が否めない。
ストーリーを軽視した構成は、結果的にバトルシーンもポッと出のキャラ同士の技のぶつけ合いになってしまってつまらなかった。
最終回まで見れば駆け足だった理由に納得できるのではないかという期待も裏切られ、最悪でした。もっと良いアニメ化の仕方があったはずです。アニメーション自体は、作品のダークな部分、ダークでない部分両方の魅力を引き出せていただけに残念でなりません。
以上です。
何かありましたら、コメントでも以下のリンクからでも。








































































































