フェデリコ・フェデリチのらくがきちょう

いくら落書にはげんでみたところで、余白を埋めつくしたり出来っこない。──安部公房『箱男』

2021/10/13

『Another』について書きます。再放送していて、懐かしいので。

9年も前のアニメなのでネタバレとか気にせず書いていくので、それを避けたい人は読まないでください。

 

今週でアニメは第3話です。こういうものって第1話から追いかけて行くものじゃないかと思うかもしれませんが、書かなかったという事実は変えようがないし、書きたいという思いは諦められないのでどうしようもありません。

そもそもある程度書く内容ができたら書くつもりなので、この日記も各話更新にならないかもしれません。

 

ではまず、事件の真相に関わる話から。怜子と三神先生が同一人物であり、その年の〈死者〉だったことについて。当時は最後の最後まで〈死者〉が誰だったか分からなかったし、同一人物だということにも気づかなかったので、かなり衝撃的だったのを覚えている。同一人物だから〈死者〉だとはならないけれど、同一人物であるという設定が公然とされずにいたということは、そこに何か裏があるだろうと思うから、三神怜子が〈死者〉だと考えるはず。実際にツイッターで検索してみると早い段階から同一人物だということに気づいて、怪しんでいた投稿を見かける。それに九官鳥が「レイチャン、ドウシテ」と鳴いているのを不審に思うなどして怜子はすでに死んでいるんじゃないかと推理していた人にとって、三神先生が3年3組のもう一人の〈死者〉だという解答へと至るためには、怜子と三神先生が同一人物であるということが最後の鍵になる。そう思うと、第3話の三神先生の登場の後に九官鳥が鳴いたのはかなり露骨だったし、その後すぐに怜子に同じ話題を振るのはかなり挑発的だった。

 

そして見崎鳴の描写。真相が分かってから観ると、死者だと思わせたいんだろうなというのが半ば滑稽に見えてくる。事情により真相を話せない3年3組の面々と事情も真相も全く知らない榊原恒一のすれ違いコントでもあるので致し方なしと思う一方で、見崎鳴の思わせぶりな態度や生徒たちの勘違いさせるような言い回し、そしてミサキという名前の偶然でしかない一致に、作り手の意図が見えて面白い。見崎鳴が死者だとして、始まりの年に亡くなった人気者のミサキなのか、第1話の病院で亡くなった女の子のミサキなのか今一つぶれているなとも思う。作品内部の関係でいえば、ミサキは本当に偶然でしかないのだが、作品外部の視点ではどちらか一方に絞ればよかったんじゃないかと難癖をつけたくなる。とはいえそこらへんの混乱も恐怖を作る一種の仕掛けなのかもしれないが。

 

最後に〈現象〉の犠牲者について。こいつら死んでいくんだなと思うとやはり見方も変わってくる。何と言っても最初の桜木ゆかりの死に方は凄くて、放送当時もかなり印象に残った。しかも見崎鳴の正体って何なんだというところでいきなり死ぬので、唐突感も強い。テスト中の教室から抜けて、榊原恒一と見崎鳴を見て驚いて、別の階段を降りようとして、転んで、傘が開いて、刺さって、え? え? これ助からないやつじゃない? で次の話で死亡が確認されるという。状況は完全な事故死なので、犯人がいて捜査・推理をして犯人を追い詰めるみたいな単純さは一切なくて、本当に不可解な死が存在していた。

あと、犠牲者は色んな場所で死ぬんですが、ナースの人は死ぬ場所とも近いということもあって、出てくるたびにエレベーターが描写されて、あぁこのエレベーターで死ぬんだなと思ったりするのが面白かった。

 

かなり雑然としてしまったが、これからも多分こんな感じだと思う。